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脊髄損傷:高位表現の仕方

脊髄損傷の診察、これを全部やろうとしたら本が一冊書けます。

なのでここではそれらは置いて、まずは基本事項、脊髄損傷の表現の仕方です。

残存高位と損傷高位

脊髄損傷の高位の表現には①機能残存高位で表す②損傷部位で表す、の2通りがあります。

例えば第6頸髄が損傷して、C5までの筋肉しか動かない場合は

C5損傷、第6頸髄損傷と表現します。

特にC5損傷っと言うとC5やられていそうなのが罠です。気をつけてください。C5は生きています。さらにC5損傷の表現の方がスタンダードというタチの悪さ

これにも理由があって我々医者は残っている機能の方に重きを置きます。その後のリハビリや退院の際に大事なので。そこで頸髄は6番だから5は大丈夫!とワンクッションおいて考えるよりも、C5損傷→C5大丈夫!!と単純に考えたいのです。

キレイに神経はやられない

てのは半分冗談半分本気です。

本当の理由は損傷と機能残存がクリアに分かれず、まだらになることが多いからです。

例えば第6で頸髄損傷が起きても、真上のC5が無傷っていうことは無いんです。浮腫や血種などで重度だったら軽度だったりと多少の影響を認めます。

そのため正確に『損傷高位』を判断するのがムズイことがあるため、『だったら機能が生きている高さ、残存高位で表現した方が楽では』となり現在の評価になりました。

また残存高位は①MMT≧3かつ②1つ上の髄節はMM5です。

例えばMMTはC4:5,C5:5,C6:3,C7:2だとC6損傷となります。一方C4:5,C5:4,C6:4,C7:2だとC5損傷となります。覚えておいて下さい。

残存高位以上はMMT5

残存高位はMRIやCTでじゃなく身体所見で決めます。具体的にはMMT、これが厳しければ感覚障害の有無(乳頭Th4、臍部Th10・・・)などで判断します。でも基本的にはMMTで判断してください。

(たまに画像ではTh4が脊髄損傷の爆心地、感覚はTh10以下が障害、MMTはTh1までは5、腹筋は弱くL2以下は0なんてリハビリ科医泣かせの症例もあります。ちなみにこの症例の場合は『Th1損傷』となります。でもオマケで『MRIでは第4胸髄損傷を示唆する所見を認めている』と追記しておくこともあります)

話を戻しますが残存高位より上のMMTは5であるのが大原則です。MMT4でも3でもダメです。C5損傷ならC5、4、3・・・は全部5、例外はなしです。

老人とかのMMT5/4の見分け方ってすごい難しいです。そもそもか細いお婆ちゃんとか検者のオレに力でどう見ても敵わないだろうっと思うことは多いです。

でもしっかり調べます。個人的にMMT5と4の見分け方は、MMT4測っている途中で不意にガっ!と短時間瞬間的に力を加えます。それに即座に反応出来て耐えられればMMM5とみなしています。案外使えるテクニックなのでお試しあれ。

逆にMMT3以下は損傷とみなします。MMT4/5よりも重力に抗さないMMT3は診断しやすいのも理由の一つです。

 

以上です。またお願いします。

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