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画像(MRI)に映らない脊髄損傷・梗塞

まとめ:身体所見ファースト、画像は補助

日本はいつでもどこでも手軽に画像検査(レントゲン・CT・MRIなど)が撮影できる珍しい国です。なので日本の医者・保険会社の『画像神話・崇拝』はすごいです。もうカルト、画像病です。画像こそ唯一神!!画像に映らない=病気は無い!!と本気で思っている医者が本当に多いです。
そのせいでろくに診察せずに、脊髄損傷・梗塞を脊髄震盪(脳震盪の脊髄ver)や外傷性頚部症候群などと診断されてしまうケースは多いです。(個人的に脊髄震盪・外傷性頚部症候群はゴミ箱診断、価値のないものと思っています)

でも画像に映らなくても病気であることはよくあり、特に今回の脊髄損傷・梗塞では多々あります。そしてトラブります。脊髄損傷・梗塞で画像ではっきりしないことが多い原因は2つあります。

①脊髄はすごく細く、見づらい
脊髄は結構細くて直径1㎝程度です、そして脊髄に含まれる神経はもっと細い(1-10μm)です。一方画像検査では通常5~10㎜刻みで画像(写真)を撮影し、パラパラ漫画の要領でつなげて見ます。なので脊髄や神経のように小さいものや、病変が小さいとそもそも映らない・はっきり分からないことが多々あります。

②脊髄損傷・梗塞自体は見ていない
そもそも画像、脊髄損傷・梗塞で重要なMRIについてですが、脊髄損傷・梗塞そのものを実は見えていません。MRIで見ているのは水が溜まっているかどうかです(正確には水素原子)。脊髄損傷・梗塞が起きると水が集まります。その水の集合をMRIで間接的に見ることで診断しています。刑事ドラマでいう状況証拠ですね。
実際に画像検査の報告書には『~に矛盾しない所見を認めます』と書きます。~だ!とは断定できないからです。矛盾はしない、でも断言はしないという玉虫色の判定なのです、実は。

ではどうやって脊髄損傷・梗塞を診断するかというと、手足のマヒなどの『身体所見』が決め手となります。身体所見ファーストです。細かいやり方は割愛しますが肘曲げたり伸ばしたりした時の筋力を見たり、触ってみた時の感覚低下、排尿・排便困難などの身体所見を取って『脊髄の~番がやられています』っと診断します。

前述の画像検査(MRI)や他の検査(SEP・筋電図など)は確かに有用ですが、『補助診断』扱いであり必須要件ではないです。でなければMRIの無い国、MRIの無かった時代では脊髄損傷・梗塞は診断不可というわけ分からないことが発生するためです。また患者にとって別に画像に映る映らないよりも、手足が動かない方がよっぽど大事です。

裁判でもめる

さてこの『画像で映らない脊髄損傷・梗塞』はよく裁判の争点になるのですが、まぁ~もめるもめる。何故なら脊髄損傷・梗塞があるかないかで慰謝料が大きく変動するからです。

加害者と保険会社はぶっちゃけお金払いたく無いのでごねます。よくある原告・被告の主張は
原告『実際に体が動かないんだから損傷・梗塞はあるはずだ!!』
被告『でも画像で映ってないじゃん!!』

でも実はすでに判例があります。東京地裁や大阪地裁の判例で画像所見に無いからといって脊髄損傷は否定できないとはっきり述べられています。
画像所見で映らない理由①②で述べた通り、細かい脊髄・神経まで現代医学では十分解析は出来ず、画像も機械や撮り方によって映るものが変わります。なので裁判でも医学界で一般的・普遍的な身体所見が判決の決定打になったと思われます。

以上です。またお願いします。

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