筋電図

筋電図の進め方⑬:橈骨神経麻痺(下垂手)

まとめ

病歴と症状が大事

SNAP/EIP/ECRから部位特定

病歴・症状

下垂手は橈骨神経麻痺の一つとされています。頻度自体はまぁ~そこまで筋電図に依頼は来ず年間2-3件くらいですかね。

病歴で有名なのが『Sunday Morning Palaysis』、つまり土曜の夜にセックスし、その後腕枕して朝を迎えたら下垂手になったというものです。

でもそんなロマンティックな奴ではなく、酔いすぎて腕を下にして寝たとか、電車の座席のハシにある金属に腕かけて寝たら起きたなどの残念パターンも多いです。他は交通事故やナイフで切られた時におきます。つまり長期の上腕の圧迫や外傷で起きます。

症状としては①指・手首が反らせられない(手指伸展×手関節背屈×)②手の甲(手背)の親指側の感覚低下・痺れです。なお②が起きるかは橈骨神経の浅枝・深枝・本幹で決まります。のちほど。

特に検査を進めていくうえで重要なのが①手背の感覚は正常か②握力や手指巧緻性、手関節屈曲(掌屈)が落ちているかどうかです。

①で橈骨神経本幹の麻痺か後骨間神経麻痺か②で末梢神経障害・腕神経叢障害・脊髄病変を疑うことになるからです。

神経伝導検査

調べる神経:橈骨神経、正中神経、(尺骨神経)

橈骨神経のCMAPは

記録電極:示指伸筋EIP筋腹

基準電極:尺骨茎状突起

遠位刺激:7㎝近位、近位刺激:三角筋と上腕三頭筋の間

SNAP

記録電極:解剖学的タバコ窩

基準電極:母指MP

刺激電極:14㎝近位、橈骨直上

橈骨神経はまぁ~調べるとして、正中と尺骨では正中の方が良いです。

なぜなら橈骨神経はC5-C8支配なのに対して、正中はC6-Th1、尺骨はC8-Th1です。

正中神経の方が橈骨神経と神経の高さが多く被っているので、針筋電図で脊髄病変否定する時に都合が良いのです。

実際はどうやって検査を進めていくかというと(橈骨神経CMAPはいずれも異常となるので割愛)、

①橈骨SNAP×、正中CMAP/SNAP〇

 ⇒橈骨神経本幹(大体上腕)

②橈骨SNAP〇、正中CMAP/SNAP〇

 ⇒後骨間神経麻痺⭐リンク:筋電図の進め方⑤:後骨間神経麻痺⭐

③橈骨SNAP〇、正中CMAP×SNAP〇

 ⇒脊髄病変

④橈骨SNAP×、正中×

 ⇒末梢神経障害・腕神経叢障害

 

とくに③④はSNAPの有無は後根神経節より近位かの判断をしっかりしてください。ちなみに一番多いケースは①の上腕部で障害⇒橈骨×正中〇パターンです

針筋電図

針筋電図はまず橈骨神経領域を調べ、その後正中神経支配領域を調べます。まぁ~時間なければ橈骨神経領域だけで十分ですが。

絶対に刺す:EIP、ECR、APB

時折刺す:BR、Triceps、Paraspinal(C5-C8)のどれか

EIP(固有示指伸筋)は橈骨神経支配筋で再遠位なのでマストです。これが正常ならそれ以上調べても意味ないので終了となります。

EIP×時にEIPとカップルマッスル(支配神経の高さが同じ)で正中神経支配のAPB(短母指外転筋)を次に刺します。APB〇の場合はECR(後骨間神経麻痺否定のため)、APB×の場合はParaspinal(C5-C8)を調べます。ただしBRやTricepsの障害の有無は橈骨神経障害の高さによってバラバラなのため、結果解釈が余計分かりにくくなります。個人的にはそこまで臨床的意義は無いです。

まとめると

・EIP×APB〇ECR〇

 ⇒後骨間神経麻痺

・EIP×APB〇ECR×

 ⇒橈骨神経麻痺(本幹)

・EIP×APB×Paraspinal×

 ⇒脊髄病変

・EIP×APB×Paraspinal〇

 ⇒末梢神経障害・腕神経叢障害

最後の末梢神経障害・腕神経叢障害パターンになると検査を大量に追加します。それこそ腋窩神経や筋皮神経、針筋電図もC5-Th1支配の筋を調べます。1時間コースですね。

以上が下垂手の検査の進め方です。解剖学的に少しずつ見ていけばそこまで難しくないです。てか病歴と症状で概ね当たりはつきます。

以上です。またお願いします。

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