まとめ
神経伝導検査:橈骨神経の運動×、感覚〇
針筋電図:EIP×、ECR〇、(ECU×、BR〇、Triceps〇)
筋電図の進め方④で前骨間神経麻痺をしました。前があれば後もあるだろうということで今回は『後骨間神経麻痺』です。
後骨間神経麻痺=橈骨神経麻痺の一種
後骨間神経麻痺も前骨間神経麻痺同様に珍しい病気です。後骨間神経は橈骨神経の深枝にあたります。その特徴は①手関節の背屈は一部可能だが、手指進展が不可②感覚神経は正常の2点です。なのでこの特徴が神経伝導検査・針筋電図で活きてきます。
余談ですが①で背屈が一部可能なのはECR(撓側手根伸筋)〇ECU(尺側手根伸筋)×となり伸筋の片方は生きているからです。またよく手関節がECRが生きているから背屈時に撓側に寄るという話もありますが、あまり目立たないです。まぁ~個人の感想ですが。
神経伝導検査
橈骨神経(運動・感覚神経) 絶対やる
見るのは運動神経×感覚神経〇の所見です。運動神経CMAPを導出するのはEIP(固有示指伸筋)であり後骨間神経麻痺でやられます。でも感覚神経はもう一つの浅枝が支配しているため感覚神経SNAPは正常となります。この解離が大事。
もし橈骨神経が浅枝・深枝に分かれる前の本流で障害されたら感覚神経SNAPにも異常がでます。
針筋電図
絶対刺す筋肉:EIP(固有示指伸筋)、ECR(撓側手根伸筋)
刺してもいい筋肉:ECU(尺側手根伸筋)、BR(腕橈骨筋)、Triceps(上腕三頭筋)
EIPはいつも通り最遠位筋を調べる法則の下、後骨間神経の再遠位ですので必ず調べます。そしてECRは浅枝・深枝が分岐する前の本流から支配される最後の筋肉なので正常であることを確認します。
逆に後骨間神経最近位の筋肉はECUであり異常を確認してもいいですが、ECRで異常が出ていなければわざわざ行う意味は無いです。後骨間神経麻痺では無くて、橈骨神経本枝の障害となるので。こんな感じでやはり筋電図が重要となってくる疾患でした。
まとめると
・CMAP×、SNAP×、EIP×、APB〇⇒橈骨神経麻痺
・CMAP×、SNAP×、EIP×、APB×⇒末梢神経障害・腕神経叢麻痺・脊髄疾患
・CMAP×、SNAP〇、EIP×、ECU×、ECR〇、(APB〇)⇒後骨間神経麻痺
以上です。またお願いします。
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