筋電図

筋電図の基礎④:針筋電図の代表的波形解説

まとめ

安静時異常:p波・Fib

随意収縮時異常:Polyphasic

正常でも起きる:Fasciculation

今回は針筋電図の波形・その意義などを解説しますが、なかでも重要なPositive sharp wave(陽性鋭波 通称P波)、Fibrillation(線維自発電位 通称Fib)、Fasciulation(線維束自発電位)、Polyphasic wave(多相波)を取り上げていきます。

 

Positive sharp wave

& Fibrillation(通称p/fib)

いずれも安静時に認める重要な所見で『今まさに障害が発生している、急性期』を示唆する所見です。針筋電図で最も重要な所見と言っても過言ではありません、と言うよりこれ見るためにやっていると言っても過言ではない

P波,Fibともに『筋膜の不安定性』を反映しており筋肉疾患(筋炎など)や神経疾患(脱髄・伝導ブロック)の両方で認めます。

Positive sharp waveは下図のように一度下に急降下して、それにくらべゆっくり立ち上がってくる1相性の波です。一方Fibrillationは急降下からの急上昇する比較的持続時間の短い波です。

「positive sharp wave emg」の画像検索結果

無駄知識ですが実はこのPositive sharp waveとFibrillationは同じ波ですが、発生場所および記録部位の位置関係で違って見えるだけです。なのでこの二つは同義および同時に観察されます。

下記の動画を見る、というより聞いていただくと『ポッポッポ』とまるで雨が降っているような音がすると思います。これがPositive sharp waveとFibrillationの音ですので覚えておいてください。でも本当はもっと高い音で『トタタタタタ!!』っとトタン屋根に雨が当たるような音がします。この動画は若干遠い音なので、もう少し近づけた方がいいです。愚痴。

動画リンク:P波+Fibrillation

時折Positive sharp wave/Fibrillationと通常の随意収縮の波形が似ている時があります。見分け方としてPositive sharp wave/Fibrillationは筋膜の不安定性という不随意運動に近いモノなので、周期的に出現する傾向にあります。一方通常波形では患者の意識(随意収縮)が関与するので波形はランダムに出現します。

Fasciculation

安静時に見られるもう一つの波形がFasciculation(線維束性攣縮)。脳から指令していないのに勝手に神経が暴走して筋肉に『収縮しろ』と指令が出てしまっている状態です(正確には前角細胞・軸索の自発放電)。

動画リンク:Fasciulation 11秒くらいから。

「Fasciculation emg」の画像検索結果

見た目は後述のPolyphasic wave(多相波)と酷似しており、違いは0.2-0.8mvと電位が小さいくらいです。

音はPositive sharp waveやFibrillationと比べて『ボッ、ボッ』と低いのが特徴的です。ちなみにFasciulationは正常時にも認めますので、あるからと言って異常とは言えません。ALSなどの神経疾患を疑っている際には診断の一助となります。

また急性期・慢性期ともに認めるのでそこまで病気の判断には用いません。

Polyphasic wave

日本語で『多相波』と言います。

これだけは他の3つと違い随意収縮時に見られる所見です。見つけると『障害が起きてから時間が経ってるな~、慢性期』と判断します。特に電位が5mvを超えるような巨大波があると、相当経っている≒回復は厳しいと判断します。

Fasciulationに形が似ていますが大きさが違い、通常Polyphasic waveは電位が2mv以上、持続時間10ms以上となります。

「Polyphasic wave emg」の画像検索結果

動画リンク:Polyphasic wave

この多相波は60歳以上では正常でも認められます。それは加齢とともに一部の神経が死ぬためです。なのでPolyphasic waveに関しては高齢者では同一筋・複数個所に刺して差を認めた時のみ有意と考えます。

p/fibは急性期

Polyphasic waveは慢性期

Fasciculationはどちらとも。また正常でも認める。

以上です。またお願いします。

こんな感じで駆け足ですが代表的な波形について、基本的事項述べました。

今後詳しく書く、、、かもしれません。以上です。またお願いします。

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参照:

https://teleemg.com/manual/basic-pathological-processes-seen-with-the-needle-examination/

https://www.wanderingsolace.com/the-neurophysiology-assessment.html https://accessanesthesiology.mhmedical.com/content.aspx?bookid=1845&sectionid=133684666