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リハビリ専門医試験:レポート・試験・面接まとめ

先日リハビリ専門医試験があり、無事受かり素直に嬉しかったです。
でもあまり試験情報ってネットに転がってないので、なら自分で書いてちゃえ!と思い書くことにしました。

1.レポート

レポートで求められるのが①30個の症例レポート②100個の経験症例集です。一つ一つ見ていきましょう。

①30個の症例レポート

8領域(*後述)について1000‐1200字のレポートを計30個書きます。業務の合間に書き、更に上司の添削も受けるので大変ストレスフル。添削も真っ赤っかに直されて返却されたり、一言『なんで?』とか書いてあるのでモアストレスフル。*領域は8つ、脳卒中&外傷・脊髄損傷&その他の脊髄疾患・関節リウマチ&運動器・小児脳性麻痺・神経筋・切断・呼吸循環・その他(がん・廃用・熱傷・リンパ浮腫)。ただし脳卒中&外傷・脊損は3症例以上必須*

提出期限は11月初旬(試験は翌3月)ですが、基本的に9月くらいからやり出す人が多いです。絶対に直前に始めても間に合わない、エグると分かっていても日常診察・雑務で忙殺されいつの間にか直前。これを読んでいる受験生は本当に早めに始めた方が良いです、経験者として。

なぜこれほど早めにやることを勧めるか。それは書いてみないとイケると思った症例が全くイケない、書きたいことがカルテにない、うすーーーーい内容のフェイク症例と判明するケースがあるからです。

脳卒中や関節リウマチ&運動器(骨折・人工関節)なら症例数自体が多いからいいのですが、小児や切断みたいに症例数が枯渇している場合死にます。なので1年目からコツコツ書いていくことをおススメします。繰り返しになりますが早めに書き始めてください。早期診断早期治療です。

あと一つ最も重要なことを。提出した症例レポートから10分の面接が行われますが、その際にレポートに書いている内容を深く突っ込まれます。逆に書いていないと聞かれません。最悪なのが書いている内容を説明できない事です。即不合格です。レポートで書いたことは細かく突っ込まれる!自信無いならそもそも書かない!!最重要です☆

②100個の経験症例集

①の症例レポートに比べ数万倍楽です。自分の経験した症例100個について病名・年齢・性別・病院名を書くだけです。無我の境地で書き続けます。領域ごとに必要な症例数などは特に決まっていません。

2.提出

まぁ~普通です。履歴書や先ほどのレポート・症例集送るだけ、消印有効です。私の知り合いは私を含め期限の5,2,1日前に出しました。攻める学年。ちなみに受験料は50000円、受かると登録料で20000円追加です。おとなしく納めます。

3.試験

試験は①筆記試験と②面接×2です。

3月の土日に東京(有楽町)で行われます。地方の先生に配慮して土曜日午後に筆記試験、日曜日は午前~午後16時くらいまで面接試験があります。面接開始時間は受験生ごとに違います。

①筆記試験

3時間で150問解き、開始1時間後~終了10分前まで退出可能です。会場に時計が無いので必ず用意してください。またマーク試験なので鉛筆と消しゴム必須です。鉛筆と消しゴム、国家試験ぶりに購入・使用しました(笑)。鉛筆削りも懐かしかったです。

試験問題の7-8割は過去問です。ネット・リハ学会HPにあります。5年分くらい行えば問題は無いと思います(そもそもネット上には5-6年分くらいしか転がっていない)。臨床問題に加えて細かい関節の種類(顎関節や橈骨手根関節は顆状関節、椎間関節は平面。多軸・二軸・単軸)、関節の動きに対応する筋肉(梨状筋が股関節外旋など)などマニアックな解剖の知識が求められます。でもほとんどが過去問・類問です。過去問自体だけでなく周辺部も勉強しておくと良いと思います。

残りの2-3割は謎の新作問題です。マニアック(GMFCSの細かい所とか。知るか!?)な問題出ますが多分みんな解けません。無視です。気力・余力があれば『現代リハビリテーション医学』の重要単語(赤文字)・下線部周辺見ておくといいですが、多分そんな時間はありません。

それよりも学会監修の『リハビリテーション医学・医療Q&A』からは結構出題されました。特にサルコペニアや骨粗しょう症、Critical illness Neuropathyなどの最近ホットな話題は本テキストからそのまま出ました。過去問と並んで最重要問題集です。リハビリテーション医学・医療コアテキストは個人的にはあまり読みませんでした。内容が薄めで現代リハビリテーション医学・レジデントマニュアルで十分です。

「リハビリテーション医学・医療Q&A」の画像検索結果

②面接

2日目の午前~午後に行われます。受験生ごとに試験時間が違いますので注意してください。面接はA、Bの2つのブースで計2回、25分行われます。途中の入れ替えと合わせると1時間くらい試験は行われます。

全体的に雰囲気は和やか、受験生をどうにか落とさないようにしている印象です。答えにつまってもヒント・誘導があります。逆にいい人すぎて、『これで落とされたらオレ、人間不信になる』と思いました。

試験内容はまず標準問題を15分行い、残り10分は提出した症例レポートから口頭試問されます。タイムキーパーがおり15分、10分はきっちり管理されていました

また問題ごとに合格基準(どれくらい、何個答えられたか)がおそらく決まっています。試験官が答える毎にチェック入れていましたので間違いないと思います。そして合格基準を満たすと次の問題に行っていました。

でもこちらがサクサク答えて合格基準をすぐに満たすと、時間が余って大変な感じでした。しかしタイムキーパーがいるため勝手に標準問題⇒症例にいけない。

そうなると応用・突っ込んだマニアック質問で時間を稼ぎに来た印象を受けました。またその際にはこちらが答えてもチェックを一切入れていませんでした。つまり応用・突っ込んだ問題≒合格サインだと思って差し支えないでしょう。

標準問題

標準問題は領域(前述の8領域)の2つから出ました(2018年度はA脊髄損傷、B脳卒中・外傷でした)。試験1か月前に受験票と共に届く紙に出題分野書いてあるので、それを確認後勉強始めます(今年の問題復元しておきました。後述。ご参考ください<m(__)m>)。

1つ思ったのがST(言語聴覚士)の検査・訓練内容を良く聞いてくる印象を受けました。具体的には

①高次脳機能テスト:注意障害(TMT・CAT・PASAT)、半側空間無視(BIT・CBS・線分末梢・模写)、記憶(WMS-R・Benton・Ray・リバミード)、知能(WAIS・WISC),遂行機能(WCST・BADS・Word fluency test)など。STでは常識の検査です。

②嚥下障害へのアプローチ:検査はRSST・改訂水飲み・水飲みテスト・Food test、必要なら嚥下造影・内視鏡。対策:トロミ・一回量調整・ポジショニング(ギャッジダウン・頚部屈曲位)などなど

ST領域はPT/OTに比べて専門性が高く、またリハビリ科っぽいので聞かれるのかと思います(邪推では整形外科出身の受験生が苦手?振り落とし?)

後は社会制度(介護保険や障害者手帳、自立支援給付や地域生活支援事業)の利用手順・内容はほぼ聞かれます。この分野は医学と言うより法律・社会の側面が強い(医療ではある)です。医者によっては全部医療スタッフに丸投げしている場合があるので、そこをしっかり突いてきている気がします。必ずチェックしておいてください。

症例レポート

レポートは標準問題以外の領域から、今年は脳卒中・脊損以外から主に出ます。私の面接では脳卒中・脊損は皆無でした。筆記試験で細かい知識を問われているので、面接では『患者さんにどう接したか』『なぜその治療方法を選んだのか』『他病院への紹介でどのような事を申し送ったか』など、実臨床に即したことを聞かれます。(私の聞かれた内容も少し書きました。ご参考ください)

3.試験後

試験終了1-2週間後に合格通知、といっても封筒に1枚『合格したよ、20000円登録料収めてください』という内容のA4の紙が入っているだけです。登録後に証明書が後日届きます。

そんなこんなでこれからは合格し専門医です。勝って兜の緒を締めよ、これからも頑張っていきます。

以上です。お付き合いいただきありがとうございました。

2018年度標準問題

衰えた記憶を掘り起こして書きました。間違っていたらすいません<m(__)m>

1.脳卒中

50代男性、会社員、右脳梗塞に対してt-PA施行、既往歴はHT、SIASm:3.1a/3.2.1、注意障害・半側空間無視あり。おそらく右MCA領域脳梗塞。

①急性期で診断する設定で、バイタル以外に何を見ますか?

⇒ROM・痙縮(どうせ弛緩)・DTR・巧緻性・うつ傾向などなど

②急性期でのPT/OT/ST処方を言って。STは評価方法、ベッドサイドで出来る誤嚥対策は?

⇒PT/OT:ROM・筋力増強・基本動作・ADL・上肢機能訓練・高次脳機能、ST:構音・高次脳機能・嚥下機能訓練など。ベッドサイドではG-up角度調整、頸部伸展位予防・とろみ・回旋・複数回・交互嚥下指導、VE

③内反尖足に対して装具嫌がっている。私を患者だと思って説明・説得して。

⇒放っておくとやばいで~。メンドイで~~~。戻らんで~~。

④:内反尖足に対して装具以外の治療法は?(過去問通り)

⇒ROM・持続伸張・電気・フェノ―ル・ボトックス。

⑤:身障手帳取得方法・職場復帰・運転免許希望です。それぞれどうやって行くか患者・家族だと思って説明して。

⇒手帳は障害福祉課行って、職場復帰は今の職場と相談、障害者雇用枠、運転免許は評価はできるけど最終決定は免許センターや公安当局に聴いて。

2.脊損

35歳男性、事務職、自宅階段で転倒されてC7完全損傷

①C7のKey muscleと検査肢位、感覚点は?(Triceps・中指)

→C7損傷時の補装具、到達可能なADLは?(ユニバーサルカフ・ホルダー、ADLは車いす屋外自走可)

②リハビリ処方は?

⇒先の②

③斜面台で起立訓練していたら突然意識消失した(おそらく起立性低血圧)。SBP60。何疑う、対応は?追加でショックになる何か病気あげて。⇒G-down、下肢挙上・輸液・腹帯・弾性ストッキング、出血性ショックとか?

④受傷後3~4ヶ月でもC7完全麻痺、今後の予後を患者・家族に説明して。

⇒今後劇的な回復はあまり見込めない。残存している機能を活かしていく。自宅・車いす生活を主眼に、身障手帳取得や住宅改築など行う。

⑤身障手帳は何級か、使えるサービスは?

⇒両下肢全廃で1級、身障・校正医療、場合によっては労災や自賠責

→受傷後身障手帳はどれくらいで書けますか

⇒6か月はミニマム。それ以上になる時もある

→身障判定前に退院したい人はどうしますか

⇒医療保険・自費で頑張れ 労災や自賠責もあるよ。

症例レポート

最初の方に書きましたが、レポートで書いたことは細かく突っ込まれる!自信無いならそもそも書かない!!答えられないと即不合格です。

・この人はもし障害者手帳取るなら何級?(片腕全廃で2級、脚は3級と覚えておくと何となくイメージがわいてよい。基本的に両側なら1級)

・ICFでこの患者さん評価して?

・口すぼめ呼吸の指導方法は?(風車や風船フーフーする)

・切断患者で弾性包帯巻けない人どうする?(スタンプシュリンカーつける)

・雑談:エネルギー蓄積型足部(トライアス)ていくら?(10-15万、義足は高い!!)

・50代でなんでTHA(人工股関節全置換術)したの?(インプラントの耐用年数20-30年だから、もう一回入れ替えの手術必要。)

→再置換は将来必要だが、それよりもそれまでの期間(耐用年数20-30年)の機能維持・改善に努める方が重要と判断。

→この方身障取るとしたら何級→一側下肢の著しい障害か股関節全廃で4級。

・前頸筋群を具体的に→舌骨上筋群と舌骨下筋群→具体的に→顎舌骨筋・顎二腹筋・オトガイ舌骨筋・茎突舌骨筋、胸骨舌骨筋・胸骨甲状筋・甲状舌骨筋・肩甲舌骨筋など答える。もはや意地。

以上です。ここまで読んでいただけた皆さまありがとうございました。

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