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皮下点滴:血管に入れない点滴

まとめ:手技が簡単&意外と汎用性あり

点滴は血管にいれるもの。日本ではその固定概念が強いです。でもご老人、特に末期がん患者や死期の近い患者では静脈が細くなるため、点滴の針を入れるのが非常に困難となります。首やモモの付け根の太い静脈に点滴をいれる『中心静脈ルート』もありますが、患者への負担が重く『そこまでやる必要あるか?』とよく議論・検討されます。

でも何も点滴は血管に入れる必要はありません。『皮下点滴』という抜け道があります。

皮下点滴の皮下とは表皮と筋肉の間にある皮下組織という組織を意味します。まぁ~いわゆるぜい肉です。ここに注射をする皮下注射はすごくポピュラーで、よく二の腕にインフルエンザなどの予防接種で頻用されています。注射では薬剤を入れたら針を抜きますが、皮下点滴では針で刺した後にプラスチックの外筒と言われる管を留置し点滴液を流し込みます。

血管への点滴は細い血管内に上記の外筒を入れなければいけないので、血管が細く・固くなる末期の患者では困難で複数回刺すケースも多々あり患者の負担が重くなります。一方皮下点滴は皮膚の下に刺すだけですので失敗することはまずないため、体への負担が少ないのが特徴です。

ただこの皮下注射はゆっくりと点滴するのは得意ですが、命の差し迫った状態の患者ではスピードに欠けるため用いません。なのでどちらかと言うと療養・末期の患者で行われます。また使用できる薬剤も限られている欠点があります。☆リンク終末期の輸液療法ガイドライン2013☆p.41から読むのが良いかもしれません。

でも投与可能な薬は医療でエース級の働きをする薬品ばかりですので、少なくとも一般的な病院では必要十分と考えられます。また投与できる水分(輸液・点滴)の量も24時間で1000~1500mlなので必要量は満たせる計算です。皮下点滴は皮膚トラブルが無い限りは、特に抜去する必要はありません。

また基本的に輸液ポンプは使用しないほうが良いです。点滴なら点滴速度が速すぎて皮下吸収が追いつかない場合、刺入部が腫れ、圧が高まるため勝手に点滴速度が遅くなります(大気圧の関係で)。

でも輸液ポンプは強制的に決まった量を点滴する装置です。刺入部の圧が高くてもポンプの力で無理やり点滴を送り込みます。当然破裂のリスク大です。なので輸液ポンプは推奨できません。

刺入部位

皮下点滴を指す場所としては、個人的にはおへその横辺りにするのをファーストとしています。腕や脚でも良いのですが、よく動いて抜けやすく、また刺した場所が腫れた時に神経が痛みやすいからです。おなかは血流も豊富で、大きな神経も通っていないので頻用しています。また刺す際には体の中枢、腹部なら脇腹⇒へそ、腕なら腕⇒肩方向に刺します。そちらの方が刺した部位の血流が良く、吸収されやすいからです。

皮下点滴はまだまだ日本では普及していません。でも点滴と言う医療での基本手技も固定概念に縛られずに、患者にベストな方法を模索することが大事ですね。

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