検査

筋電図症例問題集①:手のしびれpart1

このブログでは今まで多くの筋電図解説をしてきました。リンク:筋電図関連の記事一覧

でも知識としてだけ持っていても、アウトプットしないと身に付かない・面白くないです。よく勉強と言うとインプット(本読む・暗記する)方に力入れがちですが、最も効率のいい勉強法はアウトプット(問題解く・発表する)7:インプット3です。

そしてなにより暗記だけだとつまらない。なのでこれから症例問題と解説をちょくちょく述べていきます。

なお全ての症例はフィクションです。

臨床像

主訴:右手のしびれ

現病歴:82歳女性。2-3か月前から右手の感覚低下・しびれ(母指~中指)、夜間~明け方にかけての同部位に疼痛を認めている。疼痛は強く夜間に起きてしまうほどである。

既往歴:糖尿病、関節リウマチ、甲状腺機能亢進症

仕事:専業主婦 特に手を使うような職業にはついていない。

身体所見:右母指~中指にかけての触覚低下、しびれは母指~小指まで手指全体に認める。母指球・小指球の筋委縮は無し。その他MMT、腱反射などは明らかな異常なし。

⇒さてここまでの情報でどの疾患の可能性、どのような検査プランを考えますか?考えてから次の神経伝導検査・筋電図に進んでください。

 

 

神経伝導検査

検査では以下の所見を認めた。

右正中神経CMAP:Distal-Latency6.2ms、Amplitude12mv、NCV58m/s、特に時間的分散・波形の形も正常であった。

右正中神経SNAP:NCV41m/s、Amplitude4.8μv

右尺骨神経CMAP:Distal-Latency3.2ms、Amplitude21mv、NCV56m/s。F波のLatency21ms、出現率は100%(身長158㎝)

右正中神経SNAP:NCV53m/s、Amplitude11μv

針筋電図

右短母指外転筋(APB):安静時❛Denervation Potentials❜認めた。随意収縮時に軽度の多相波の増加(Poly2+)を認めた。Amplitude0.6-2.2、Duration4-12、Interference Pattern4

右第一背側骨間筋(FDI):安静時❛Denervation Potentials❜認めなかった。Poly0、Amplitude0.4-1.8、Duration6-10、Interference Pattern4

(撓側手根屈筋FCRもやってもいいです。ちなみにここでは正常所見で話し進めてください)

 

⇒さて診断は何でしょうか?また障害の程度、急性期か慢性期か、手術適応か?内服や注射でねばるか?などなどお考え下さい。

解説

①臨床像

まず手根管症候群は中年~老年の女性に圧倒的に多いです。1:5くらいです。また手の小さい人がなりやすいです。手が小さい⇒手首も小さい⇒手根管の空間も狭い⇒神経圧迫されやすい。手根管はかなりの欲張りセットで、1㎝×2㎝くらいの空間に神経1本と腱が10本通っています。そりゃ擦り切れますわ。

症状で一番特徴的なのが『夜間~明け方にかけての疼痛』です。これ訴えた瞬間に手根管症候群が最有力となります。寝ている間に手根管内圧が上がるかららしいです。詳しくは知りませんが。

既往歴で手根管症候群と関連が深いのは、糖尿病・リウマチ・甲状腺機能亢進症・妊娠です。神経障害がでやすい・軟部組織が増えるからです。とりあえず今回はこれらを症例問題では入れてみました。

触覚低下は正中神経支配領域、母指~環指撓側に出やすいです。少し注意なのがしびれの解釈です。しびれはデルマトームを簡単に超えます。手根管症候群でも解剖学的には症状の出ないはずの小指や手背のしびれを訴える方もいます。なのでしびれは基本的に当てにせず、触覚低下の方を採用してください。

身体所見ですがこの症例では筋委縮・筋力低下が起きていない設定にしました。まぁ~この段階でCMAP/針筋電図のAmplitudeは正常で急性期だろうなっというスルーパスでした。

②神経伝導検査

正中神経CMAPでDistal-Latency延長、Amplitude低下、NCV正常。SNAPはAmplitude / NCV低下という典型的な神経伝導検査結果にしました。尺骨神経はCMAP/SNAPともに正常です。

③針筋電図

APBで脱神経電位を認めている≒今まさに神経がやられている≒急性期・手術適応です。

特に筋力低下・萎縮が起きていない場合は、障害予防のためにやはり手術は必要です。

一応ビタミン剤(メチコバール)、注射(ステロイド+局所麻酔薬)などありますがあまり効果ないです。そんなので粘るくらいならOpeに踏み切った方が患者のためになります。

④診断

以上を踏まえるとこの症例の診断は、右手根管症候群、軽度、急性期、手術適応。となります。

こんな感じでひとつひとつ証拠を集めて犯人を見つけていきます。

でも神経伝導検査・針筋電図よりも患者の主訴や現病歴で当たりをつけることの方が重要です。闇雲にやっても余計な検査増やすだけです。この検査は痛いので速く・最小限で終わらせることが重要です。

以上です。またお願いします。

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