検査

採血:肘の内側は危険

まとめ:肘の内側には大事な神経がいる。

健康診断や病院の検査などで一年中どこかで採血がされています。ほとんどの場合は肘(肘窩)で取ると思います。でも肘での採血は間違ったやり方をすると、皆さんが思う以上に危ない医療行為なのです。

ずばり正中神経麻痺になることがあるのです。よく注射刺す時に『手が痺れませんか?』と聞いてくるのは、この正中神経麻痺を防ぐためです。

下の図は代表的な肘周辺の静脈と大事な正中神経を表しています。

正中神経の神経支配

 

 

 

 

 

 

 

左図のうち撓側皮静脈と前腕・肘正中皮静脈は比較的安全です。

問題は尺側皮静脈です。ちなみに尺側とは内側を意味します(肘~手関節までの部位、前腕は橈骨・尺骨の二本の骨からできており、尺骨は内側に、橈骨は外側にあるためです)。尺側皮静脈のそば・真下には正中神経という、肘~手関節~指にかけての運動・感覚に非常に大事な太い神経が走っています。

正中神経の働きで一番大事なのは親指を手のひらから離す(外転)させ、指で物がつまむ・つかむことです(具体的には短母指外転筋の働き)。少し説明します。

「母指 外転」の画像検索結果

外転とは上記のように手のひらを上に向けた時(なにかすくっている時のポーズ)に、親指を立てている状態をイメージしてもらうといいと思います。この状態だと親指とほかの指の先っぽ同士をくっつけることができます。これを『対立』といい、いわゆるつまんでいる・つかんでいる状態です。

では外転をしていない、つまり親指が寝ている状態ではどうか(上図の掌側内転時)。どう頑張っても『対立』ができません。つまり物がつまめない・つかめない⇒物が持てなくなってしまうのです。

これはほぼ手の機能が失われ非常に日常生活に支障をきたします。指って伸ばすより曲げてつかむほうが生活において大事で、ぶっちゃけ指を伸ばすのは脱力すればいいだけです。でもご安心を正中神経麻痺の多くは2-3か月くらいでよくなります。あまり一生障害が続く人は見ないですね。おそらく注射の針自体が細いので、神経の一部が傷つくだけだからだと思います(しびれは多少残りやすい)。

でも起きないに越したことはないので、肘の内側、お気を付けください。そして刺さって手が痺れたり(≒正中神経に刺さった)したら必ず言ってください。それ以上針を進めなければ被害は最小で済むので。

以上です。ありがとうございました。

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参照https://nurseful.jp/article/magazine/%E7%9C%8B%E8%AD%B7%E3%81%82%E3%82%8B%E3%81%82%E3%82%8B-%E6%89%8B%E6%8A%80qa%E3%80%80%E9%9D%99%E8%84%88%E8%A1%80%E6%8E%A1%E8%A1%80/、日本整形外科学会HP