検査

筋電図症例問題集③:下垂足part1

筋電図の知識に関してはリンク参照くださいm(__)m リンク:筋電図関連の記事一覧

今回もテーマは下垂足。

臨床像

主訴:右足首が上がらない

現病歴:82歳女性。整形外科で腰部脊柱管狭窄症の手術を受けた(L2-5)。術後翌日離床した際に右足関節背屈不可、下腿外側~足背の感覚低下・異常感覚を認めた。経過観察したが改善認めず精査目的で発症後3か月後に筋電図施行となった。

既往歴:特記事項なし

身体所見:MMTは右足関節背屈0、底屈5、母指伸展0屈曲5、股関節外転5

⇒さてここまでの情報でどの疾患の可能性、どのような検査プランを考えますか?考えてから次の神経伝導検査・筋電図に進んでください。

神経伝導検査

検査では以下の所見を認めた。

右腓骨神経CMAP:足関節刺激で正常、腓骨下で正常、膝窩部で異常(Amplitude半減)、SNAP:浅腓骨・深腓骨神経ともに異常

右脛骨神経CMAP/F波、腓腹神経SNAPはいずれも正常

⇒さてここまでの情報で、次の針筋電図はどの筋肉を刺しますか??

針筋電図

前脛骨筋TA、短趾伸筋EDBで安静時❛脱神経電位❜認め、随意収縮時に多相波の増加、干渉パターンは無く2MUPのみ認めた。

腓腹筋Gastro、大腿二頭筋短頭Biceps short head、中殿筋G.medはいずれも正常所見であった。

⇒さて診断は何でしょうか?また障害の程度、急性期か慢性期か、予後は?

解説

①臨床像

典型的な術後安静・体位不良による腓骨神経麻痺です。裁判になったら負けます。

腓骨神経麻痺で筋電図を行うのは『どこでやられたか』ハッキリさせることです。

本症例の場合は臨床像で当たりがつき、中殿筋・腓腹筋が正常⇒腰椎病変は可能性低い、下腿外側(総腓骨神経領域)に感覚異常あり⇒総腓骨神経の可能性大、となります。

②神経伝導検査

腓骨神経CMAPで腓骨頭下は正常、膝窩で異常がポイント。つまり腓骨頭下~膝窩部で神経障害が起きている可能性が高くなります。

③針筋電図

TA/EDBが異常で、Gastro/Biceps short head/G.medが正常なので腓骨神経麻痺となります。ポイントはBiceps short head。これは坐骨神経から分岐した腓骨神経が最初に枝を出す筋肉です。なのでこの筋が正常だとより遠位、具体的には膝窩部よりも遠位で腓骨神経が障害されている可能性が高くなります。

ぶっちゃけ膝窩以遠で腓骨頭下~膝窩部でやられる部位って、腓骨頭以外ないです。外傷で下腿骨骨折すれば話は別ですが。

また発症後3か月経過して干渉パターンが見られず、MUPのみだと予後は不良です。断定は現段階ではできませんが、回復するにしても1-2年かかります。また回復も限定的で障害は残るレベルでしょう。

④診断

総腓骨神経麻痺(腓骨頭下~膝窩部)。急性期、予後不良。

改善は月・年単位であり障害残存の可能性あり。

 

以上です。またお願いします。

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