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高次脳機能障害:運動性失語

高次脳機能障害シリーズ第2弾です。

今回は失語症、その中でも運動性失語について述べていきます。

総論

失語症とは??

高次脳機能障害は失語症とともに歩んできた、といっても過言では無いくらい重要です。

失語症は端的に言うとコミュニケーション障害です。でもコミュニケーションは患者-医者関係構築に非常に重要です。なので逆に、コミュニケーションが取れない失語症は発見が比較的早い特徴があります。医療者も気づきやすいので。

高次脳機能障害には他に失行や失認という概念もあるのですが、失語に比べて目立ちにくく発見が遅れることも多いです。それこそ退院後に見つかることも多々あります。

我々がコミュニケーション(言語的)をする時、

①まず聞く

②聞いたことを理解する

③話すことを考える

④実際に話す

の大きく分けて4段階のプロセスがあります。

この内、今回は④がやられる『運動性失語』について書いていきます。比較的わかりやすいので最初に扱います。この記事の続編では皮質聾・感覚性失語・全失語について書いていく予定です。

☆運動性失語☆

運動性失語の、運動性=口や舌の動きっというイメージを最初に発見した人は持っていました。でもこれは間違いです。確かに患者は話せないのですが、別に口や舌が動かせないわけではありません。脳が言葉をうまく引き出せないのです。なので運動性失語の患者は必ず『言葉が頭で引っかかる、出そうで出ない』と言います(補足:口や舌が動かせなくて、言葉が話せないのは構音障害という別の概念です)。

この『言葉が頭で引っかかる、出そうで出ない』が非常に特徴的です。

実は似たような事は我々でもあります。例えば知っていた英単語を、いざ思い出そうとした時の『えーーっと』と頭をフル回転させている時の感覚が近いです。

 ☆予後・注意点☆

この運動性失語は失語症の中では比較的予後が良い、つまり治りやすいです。

多くの方が日常会話なら十分に可能となります。少し『この人活舌悪いかな?』くらいにはなります。ただ電話のように、表情やジェスチャーが通じない場面に対しては訓練・慣れが必要です。

一番いけないのが、相手をまごつかせる、自分が話しにくくて恥をかきたくないからコミュニケーションを取らないことです。コミュニケーションは筋トレと一緒です。しないとどんどん弱っていきます。なので患者にも、気にしないでドンドン会話してくださいと伝えます。

そうやって社会復帰を果たしていきます。

以上です。またお願いします。

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すずき Suzuki