筋電図の基礎②:神経伝導検査の結果解釈(数値・異常値)

ざっくばらんに述べていきます。詳しくは正書読んでください

 

上記のようなy=sinxの波が一番基本的な波形です。NCV(神経伝導速度)、Amplitude(電位)、Latency(潜時)、Duration(持続時間)が重要なパラメーターです。

NCV(神経伝導速度)

NCVはNerve Conduction Velocity神経伝導速度の略です。NerveではなくMotor運動神経としてMCVとする場合もありますが、感覚神経も含むNCVの方が表記としては一般的です。

原則として運動神経及び感覚神経とのみ、NCVは上肢で50m/S、下肢で40m/s以下は遅延とみなされ『脱髄』を疑います。ただしNCVは皮膚温による影響を強く受けるので、特に冬や冷房に注意してください。

一方速い場合、上肢で70m/s、下肢で50m/sを超える分には特にどーでもいいです。大体がただの測定ミスです。

Amplitude(電位)

Amplitude(電位)は一応CMAPで10mv、SNAP5μv以下で異常なんて言われています。しかし個人差が激しいので信憑性は低いです。左右差や上下肢差を見た方が賢明です。

Amplitudeで重要なのが『伝導ブロック』であり、ある刺激部位でのAmplitudeが他部位や健側と比べて50~60%以下になっていれば伝導ブロックとみなします。伝導ブロックは筋力低下をもたらす所見の一つなので重要です。

またAmplitudeが低下して、後述の持続時間Durationが延長していると時間的分散という所見が得られます。これも伝導ブロック・筋力低下の所見の1つです。

Latency(潜時)

Latancyは特に遠位部の刺激によって得られるDistal Latency(遠位潜時)が重要です。

Distal Latencyの延長は絞扼性障害、有名どころでは手根管症候群や足根管症候群で問題となります。一応手根管症候群では>4.4ms、足根管症候群はSNAPがやられるのでNCV40m/s以下で判断します(SNAPではLatency=NCVです、言い忘れてた)

脱髄では意外とDistal Latencyは延長しません。Distal Latencyは波の立ち上がり≒速い神経を見ており、全部の神経が脱髄起きれば良いですが、実際はまばらに脱髄が起きるためそこまで延長しない点が要注意です。

Duration(持続時間)

Durationはそれ単独では判断せずに、元気な健側や近位と遠位での差を見ます。特にDurationが延長する現象を『時間的分散』と言います。一般的には健側または遠位刺激時に近位よりも20%Durationが伸びたら時間的分散と判断します。(裏話:形だけでなんとな~く見る時も)

F波

F波はCMAPの兄弟みたいなものです。上記のようにCMAPが刺激部位→筋肉へ向かうのに対して、F波はその逆、一回脊髄に行きUターンして筋肉に伝わる波形です。

そのため脊髄を含めた神経全体を調べられる=Systematicな病態を見つけるのに向いています。例えばギランバレー症候群や糖尿病性末梢神経障害で用います。

F波ではMinimum Latency(最小潜時)とFrequency(出現率)を見ます。最小潜時は上肢では30ms、下肢では40msを超えると一般的に遅延しているとみなします。出現率は神経ごとにバラバラ、個人差、神経の賦活具合で変化するので難しいです。両側で調べてみてその差を見るのが良いでしょう。

リンク:筋電図関連の記事一覧

以上になります。

励みになりますので、よければ投票お願いします⇩⇩(どれでも大丈夫です)

       

すずき Suzuki