あほな事ばかり書いていないで、たまにはリハビリの事を。
3つの療法士の最後、今回は言語聴覚士について書いていきたいと思います。
言語聴覚士は英語でSpeech-(Language-Hearing)Therapist、通称STです。STの方を頻用しています。療法士のなかでも最も数が少なく、全部で約3万人です。
他の療法士(PT,OT)と違って、大学を卒業している人が多い印象を受けます(気のせい?)。多くのSTは言語学や高次脳機能障害(失語や失行など)に興味をもち、志望されていますね。
☆仕事内容☆
STの担当する分野は大きく分けて2つです
①:高次脳機能、②:摂食嚥下機能
①:高次脳機能
脳の働きに関して機能です。これはすごく難しくてボリュームの多い概念です。別の記事で深く掘り下げていこうかと思っていますので、ここでは簡潔に。
脳の働きとしては手足を動かす運動、熱い・冷たいなどの感じる感覚などは思い浮かぶと思います。でも社会生活を送るには、それ以外の多種多用の脳の働きが大事になっていきます。例えば見る・聞く・理解する・話す・他人に配慮する、などなど。
これらを『高次脳機能』と言います。脳梗塞や脳挫傷などでは『高次脳機能』が障害されます。例えば上手く話せなくなる、相手の言っていることが分からない、怒りっぽくなるなど。これを『高次脳機能障害』といい、STの訓練を担当する大事な概念です。
②摂食嚥下機能
噛んで、飲み込む機能です。我々が物を食べたり・飲んだりする時、以下の事が順番に起きます。
①:食べたり・飲めたりする物かどうか判断する。
②:歯や舌で咀嚼し、のど(咽頭)に送る。
③:のど(咽頭)に来たものを食道に送る。
④:食道の入り口が開き、胃へと送る。
これらの1連の動作が障害されると、『摂食嚥下障害』となります
①-④が障害される原因は、
①:認知症、視覚・聴覚障害。
②:歯牙欠損(歯が無い)、義歯不適合(入れ歯が合わない)、舌を取った(舌癌術後)。
③:脳梗塞、ALS、パーキンソン病。
④:脳梗塞、食道癌、食道アカラシア。
などなど、いっぱいありすぎて書ききれません。でも特に重要なのが、飲み込んだものが食道では無く、間違えた気管に入ることです。これを『誤嚥』といいます。
『誤嚥』によって起きる肺炎を『誤嚥性肺炎』と言い、高齢化社会では非常に重要な病気です。現在日本の死亡原因の3位は肺炎です。そのうち誤嚥性肺炎は大きなウェイトを占めています。なので『誤嚥』にアプローチすることは、生命予後(寿命)の改善を図ることができ、非常に重要な医療行為です。
☆治療内容☆
①高次脳機能障害
課題文を書いたり読んだり、カードを見て書かれた絵の名前を当てるなどを行います。高次脳機能障害は個人でかなりバラつきがあります。なので患者ごとに適切な訓練内容を選ぶ必要があります。あまりにも多いor難しい課題を出すと効果があるどころか、逆に患者の意欲が減退します。逆効果です。オーダーメイドの治療ですね。
②摂食嚥下障害
誤嚥しないようにトロミ(≒あんかけ)をつけたり、ごはん⇒お粥にしたりして食形態の工夫を行います。それ以外に顔が上を向いていたり、体がずり落ちたりしていたら誤嚥しやすいので、ポジショニングを調整します。
☆総括☆
高次脳機能障害・摂食嚥下障害は、マヒや切断などの一目でわかる病気ではありません。なので一般社会ではあまり理解されにくい病気で、病院⇒社会に戻った際に初めて分かったり・気づかれたりもします。でも人間が社会生活を送る際には必須の概念であり、それにアプローチするSTは非常に重要です。まだSTの絶対数は少ないので、皆さんに興味持ってもらえれば幸いです。
以上です。またお願いします。
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