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細菌・ウイルス感染での採血結果の違い(白血球数・分画・CRP)

まとめ

①白血球数 細菌:⇧⇧⇧、ウイルス:⇒or⇧

②分画 細菌:好中球⇧⇧、ウイルス:リンパ球⇧

③CRP 細菌:⇧⇧⇧、ウイルス:⇧

プロカルシトニンは細菌性で↑

細菌とウイルス。ご存じ二大感染症の原因。症状の違いは以前簡単に☆リンク:カゼの見分け方☆で述べたので、今回は採血結果の違いを述べていきます。ただしここでは一般論を述べますので実際は採血結果がオーバーラップしたり、反対になることもありますがあしからず。

細菌

細菌では白血球数が爆増します普段は白血球数は5000-8000個くらいですが、細菌感染時には20000-30000っと4-5倍になります。でも40000はそうそう超えません。超えたら白血病を疑います。

そして増えた白血球の中身(分画)も変わり、戦闘力のある好中球が9割近くになります(普段は5-6割)。少し脱線ですがその際に『左方移動』という現象が見られます。血球を種類ごとに分離・分画した時に好中球が左側にリンパ球等のその他の血球は右の方に認めます。好中球が増えるとあたかも左側に血球分画のピークが移るように見えるため左方移動っと言っています。

左方移動では好中球、その中でも未熟な桿状核球・後脊骨髄球が出てきます。これは細菌感染という非常事態・全面戦争のために、まだ成熟していない好中球(桿状核球・後脊骨髄球)まで駆り出される現象です。太平洋戦争時の学徒出陣やナチスの少年隊に近いです

また炎症の指標であるCRPは細菌性では馬鹿上がりし、大体は10以上、30超える時もザラです。

ウイルス

一方ウイルス感染では白血球数はあまり増えません。

それはターゲット・数が違うからです。細菌感染は文字通り細菌が攻撃対象です。細菌は20-30分で2倍に増えるため膨大な数を相手にしなくてはなりません。対抗するために人体も白血球を増やし物量戦にもっていく必要があるため、白血球数⇧⇧⇧となります。

でもウイルス感染では白血球数はあまり増えません。理由はターゲットがウイルスでは無く、ウイルスに感染した細胞だからです。実はウイルスはそれ自体だけで増殖が不可能で、他の生物の細胞に入り込み・利用することで初めて増殖します。またウイルス自体が小さすぎて一つ一つ白血球で殺せません。なので代わりにウイルスに取り込まれた細胞をターゲットにして、感染された細胞ごと駆逐します。まぁ〜ウイルス感染した細胞をやっつける=バイオハザードでゾンビになった仲間を倒すようなものです。

また細胞は早いものでも数時間ほど増えるのに時間がかかります。そのためウイルスに感染した細胞もそんなに速く増えないため、排除するのに必要な白血球がそこまで要りません。これがあまりウイルス感染で白血球数が増えない理由です。また細胞を倒すのが得意なリンパ球の割合が増えるのも、攻撃対象が感染細胞なのが理由です。そして壊れた細胞からLDHが漏れ出るので、LDH⇧となります。

CRPはそこまでウイルス性では増えません、1桁台であることがほとんどです。でも例えばインフルエンザに二次性の細菌性肺炎が合併すると値は跳ね上がります。

プロカルシトニン

プロカルシトニンは白血球数やCRPよりも新しい検査項目です(すごく新しい訳ではない)。プロカルシトニンの特徴は細菌性では上がるのに、ウイルスでは上がらないことです。なので鑑別が必要な場合は検査しても良いと思います。

保険算定の関係で月1回ほどしか保険効かず、査定で切られやすいのでご注意を。

コロナウイルス

コロナウイルス感染での採血結果は、他のウイルスと特に変わりはないです。

同じように白血球数は軽度⇧orほぼ横ばい、LDH⇧ですね。

そもそもコロナウイルスはいわゆる『かぜ』の原因となるウイルスでは、スーパーメジャーです。コロナウイルスとライノウイルスで7-8割くらい占めていました。

なので今回の新型コロナもこれらと採血上は特に変化ありません。

白血球数:細菌⇧⇧⇧、ウイルス性⇒or⇧

細菌:好中球⇧⇧(時に9割以上)

ウイルス:リンパ球⇧

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すずき Suzuki