筋電図レポートの見方・書き方

スーパーマニアックな内容です。

多分私以外のブログで載せているとこ無い気がします(当社調べ)。

報告書の書き方は特に決まったものはなく、人や出身大学によって書き方は色々ありますのでご注意ください。参考程度に思ってください。

ここでは右手根管症候群を例に記載します。

神経伝導検査は以下のように記載します。

神経伝導検査

右正中神経・尺骨神経で施行しました。

・右正中神経:運動神経CMAPでDistal-latencyの延長、Amplitudeの低下、Temporal dispersionを認めました。NCVは正常範囲内でした。感覚神経SNAPは導出不可でした。

・右尺骨神経:CMAP、SNAP、F波はいずれも正常範囲内の所見を認めました。

・比較試験:2L-Int法施行しました。正中神経刺激で尺骨神経刺激と比べて有意な潜時差を認めました。

淡々と検査事実を書きます。Distal-latency・Amplitude・Temporal dispersion・NCVは英語ではなく遠位潜時・電位・時間的分散・神経伝導速度と日本語で書いても全く問題ないです。それぞれの詳しい説明は⇒☆リンク:神経伝導検査の結果解釈(数値・異常値)☆にをご参照ください。

一方針筋電図は以下のように記載します。

針筋電図

右APB/FDI/PTで施行しました。

APBでは安静時’Denervation Potential’を認めました。随意収縮時にはPolyphasic Potentialの{軽度増加or2}認め、Amplitude1.0-2.4、Duration5-12でした。

またInterference Patternの{軽度減弱or3}を認めました。

FDIおよびPTはいずれも正常所見を認めました。(安静時’Denervation Potential認めず、Amplitude0.6-1.8、Duration4-10、Poly無し、Interference正常or保たれていた)

ポイントは’Denervation Potential’は必ず‘’を付けてください。これは、いわゆる、という意味です。

何故ならDenervation Potentialは日本語訳では脱神経電位っと脱神経と言っています。でもこの異常電位は筋疾患でも認めてしまい純粋な脱神経の所見ではないからです。なのですこ~し濁した表現をします。

Polyphasic Potential及びInterference Patternは1-4で定量的に評価します。Polyphasic waveはその発生頻度から認めない・少ない0-1が正常(1は若年では異常)、増加していくにつれ2→3→4となり異常と判断します。

また活動電位のAmplitude/Durationも記載します。ちなみにAmplitudeの正常値は0.4-2.0mv、Durationは0.2-1.0msです。Polyphasic PotentialではAmplitudeは0.8-3.0のように2.0超えてきますし、Durationも0.6-1.8のように1.0超えてきます。

一方Interference Patternは逆で4が正常で、減弱していくにくれ3→2→1となり最後には数個の運動単位しか見られない場合、例えば3単位なら3MUP(Motor Unit Potential)となります。Interference Patternは4以外は全て異常です。

そしてこれら誘発筋電図および針筋電図の結果から最終結論を述べます。

Imp

右手根管症候群(急性期・中等度)に矛盾しない所見を認めました。本検査上、Cervical/Thoracic lesionを示唆する所見は認めませんでした。

 

ImpとはImpression印象っという意味です。筋電図って別に確定診断では無いんです。なのでImpressionとか○○に矛盾しないっというフワッとした検査結果を述べざるを得ないのです。

また急性期なのか慢性期なのかを記載すると依頼してきた医者に親切です。急性期⇒今まさに神経がやられている⇒手術(開放術)で救えるかもしれない⇒急いで対応しよう!!となるからです。

あと手根管症候群以外のCervical/Thoracic lesion(脊髄病変)を示唆する所見は無かったことは必ず書きます。それによって手首の手術するのか、背骨の手術するのか、部位がまるっきり変わるからです。

これらは一例ですので皆さんも適当にアレンジ・カスタマイズしてください。

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すずき Suzuki