今回は顔面神経麻痺での筋電図の進め方です。顔面神経麻痺の基本的知識は☆リンク☆から見てください。
さて顔面神経麻痺の筋電図ではENoGという値が重要となってきます。エノーグやイーノグやイーエヌオージーなんて呼ばれています。ENoGは健側での顔面神経CMAPのAmplitude(電位)と患側のAmplitudeの比を表しています。下図だと健側・患側の矢印の比です。
このENoGで大事なことは①発症後10-14日経ってから検査する②予後判定がおおよそできることです。①はしっかりとWaller変性(神経がやられて軸索が死ぬ・変性する現象)終わっている時期に調べなくては意味が無いからです。もし10-14日前にやるとENoG測定後に新たにやられる神経が一定数存在し検査精度が落ちるからです。
②はENoGを図る目的でもあり>40%で予後良好、<10%未満で予後不良とされています。通常40%以上では麻痺無くorほぼ無く改善します。逆に10%以下では障害が高度で、共同運動パターンという眼を動かそうとすると口も動く、口を動かそうとしたら額が動くなど勝手に表情筋が動いてしまい『表情』が壊れやすくなってしまいます。
ENoG以外では柳原法という顔面筋のスコアがあります。ENoGとは相関が良くもし伝導検査できない場合は柳原法で問題ないです。
誘発筋電図(ENoG)
調べる神経:顔面神経(まんま)
調べる筋肉としてはよく用いられるのは眼輪筋・鼻筋・口輪筋です。貼る場所は記録-基準の順で
・眼輪筋:下眼瞼(下まぶた 中央)-こめかみ
・鼻筋:鼻筋-対側の鼻筋
・口輪筋:人中(鼻の下)-オトガイ(アゴ)
中でも口輪筋を正中法で調べるのが個人的にはおススメで、得られるAmplitudeが大きいため測定誤差が出にくい特徴があるからです。
刺激電極は耳珠(耳たぶ)の横~斜め下か、茎乳突孔(案外耳たぶの真下辺り)に当てます。
その際刺激電極は外眼角に向けるとは良い波形が得られます。ポイントです。
針筋電図
(あまり行わない)
針筋電図はあまりやらない、というよりやる意味があるのか無いのか分からないからです。
やるとしたら眼輪筋以外ですね、目玉刺したら怖いので。
針筋図はよほどのことが無いとやらないです。
てなわけで顔面神経麻痺においては誘発筋電図(ENoG)は客観的に予後予測が短時間(2-3分)で出来るので非常に有用です。検査自体は正直そこまで難しくないので、ぜひ覚えておいてください。
以上です。またお願いします。
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