針筋電図:萎縮した筋・貫通しやすい筋の刺し方

まとめ

斜めに刺せ

その他多数

筋電図を行っていると萎縮した筋や、貫通したら胸腔・腹腔に刺さり気胸・穿孔しやすい筋肉に刺さなければいけないことが多々あります。100%安全な方法は悲しいことに無いですが、リスクを減らす方法はいくつかあるのでご紹介します。

斜めに刺す

1番頻用する方法。

これは簡単な三角比の問題です。

1㎝垂直に刺すと刺した距離は1㎝です。でも例えば45°で1㎝刺しても垂直成分は1/√2=0.7㎝なのでより筋肉を貫通しにくくなります。

斜め大作戦は特に筋電図依頼の多い手根管症候群や肘部管症候群の末期で活躍する方法です。末期の手根管・肘部管では必ず刺さなければならないAPB/FDIが萎縮していることが多いです。APBやFDIはただでさえ小さくて薄い筋肉です。それがさらに萎縮するのでその筋の薄さは紙数枚分くらいになります。

そのような筋肉で少しでも筋肉内に針を入れるために斜めに刺すことは絶対に覚えておくべき知識・技術です。

骨の上から刺す

これは胸腔・腹腔に接している筋を刺す時の必須知識。

筋肉を貫通しても骨が受け止めてくれるやろ、という雑なやり方ですが案外使えます。なんだったら骨までまず刺してから、抜いてきて筋肉に当てることもあります。

これが威力発揮するのは菱形筋と前鋸筋です

菱形筋はC5単独から支配されている貴重な筋肉、前鋸筋は長胸神経と言う腕神経叢で最も近位から分岐する神経に支配されています。これらは損傷部位特定に非常に役立ちますが、どっちも胸腔に接していてメンドイ・危険。

なので菱形筋は肋骨の直上、前鋸筋は肩甲骨内側縁~下角に向けて刺します。そうすることでも少しでも胸腔穿刺・気胸のリスクを減らします。

トントン・クルクル

針を進める時にグッと押すのではなくトントンと、まるで鍼(はりっと読むが鍼灸の方)を入れるようにトントンと指で軽くタップしていれる方法です。

一般的に筋膜や胸膜などの膜構造は、皮下組織や筋肉組織本体よりも硬い組織です。なので貫通する前に一定の抵抗感があります。トントンと刺せば抵抗の多い膜構造で針が進みにくくなるので貫通しにくいです。

またその抵抗感から、今針先がどこにあるのか解剖学的部位より推定できます。

例えば菱形筋は表層から皮膚表面⇒皮下組織⇒僧帽筋筋膜①⇒僧帽筋内⇒僧帽筋筋膜②菱形筋筋膜①⇒菱形筋本体⇒菱形筋筋膜②胸膜となり、抵抗を感じるのは太字の5つ。3つ目の菱形筋筋膜①までは良いですが、4・5番目の抵抗はアウトと分かります。部位ごとの層構造をしっかり認識することが重要ですので覚えておいてください。

クルクルは針先を回しながら刺す方法です、まんまです。

弾丸が回転した方が貫通力が増すように、余計な力を入れ過ぎないようにすることで貫通を防ぎます。ついでに運動単位に近づけることもできるので一石二鳥

フィンガーシフト&ロック

これは私が勝手に編み出した技、多分。

一子相伝の技です、ブログで曝してますが。

以下のように皮膚に接する指を小指⇒環指⇒中指⇒示指と変えていく事で、徐々に深くしていく、かつ皮膚に接している指で針がそれ以上深く刺さるのを防ぐ方法です。(針:ボールペン、ティッシュ箱:皮膚・筋)

刺していくにつれて正中位⇒回内位へとシフトしていくのがコツ。

若干練習が必要なので上腕二頭筋や大腿四頭筋のように大きな筋肉でまずは始めてみた方が良いでしょう。

エコー

最終奥義。

別にブラインドでやるのがカッコいい訳ではないので、エコーしようするのはありです。でもエコーがショボかったり、エアーで分かりにくい時は諦めましょう。

 

こんな風に色々な方法・工夫が沢山あります。

もしかしたらここに載せていない、私の知らない方法があるかもしれません。

皆様もぜひ自分に合う方法・新しい方法を見つけ出してみてください!!

まず斜めに刺せ

それ以外もいっぱい

トライ&エラー!!

以上です。またお願いします。

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すずき Suzuki