最強は特殊空気室構造
クッションの選択の良し悪しは患者の命に関わります。大げさではなく。
クッションがショボいと褥瘡、床ずれが出来てしまい、そこから感染症で命を落とすこともあります。最近はだいぶ減りましたが昔は脊髄損傷の3大死因の一つでした。(褥瘡・肺炎・尿路感染症)。
クッション選定はそれだけ非常に大事となってきます。
一番一般的:ウレタン
ウレタンは一番頻用されているクッション材です。一般社会でも少し柔らかい椅子のクッションは大体ウレタンです。
何よりも安い・軽いのが利点。
ただし柔らかすぎるので褥瘡を防止する効果はそこまで強くないです。そのため褥瘡の既往が無い患者、ある程度動ける・感覚が正常な患者で用います。
既往がある・リスクあり:ゲル・バルブ開閉式
褥瘡の危険性が高い・感覚低下がある、でも自分で除圧が可能な患者ではゲルを用いることが多いです。
ゲルはウレタンよりもおケツにしっかりフィットして除圧できます。ただ材質によっては柔らかい、ゲルが偏ってしまうので除圧が上手くできないことがあります。またへたると効果が落ちやすいリスクもあります。後は体幹が弱いとずり落ちてしまう危険性もあります。
私は基本的に除圧が出来る患者、ある程度認知機能がしっかりしている患者にはゲルを勧めています。後は褥瘡も発赤程度の患者です。ポケットや壊死まで行くようなら後述のバルブ式か特殊空気室構造にします。
バルブ開閉式とはクッション自体が空気で膨らむクッションで、バルブによって空気圧を調節≒クッションの硬さが調整できるタイプです。
対象患者はゲルと同じですが、個人的には褥瘡処置が必要になった患者、壊死やポケットなどが既往にある場合はバルブにしています。ゲルよりも除圧能力が総じて高いので。sかし意外と圧調整・維持などが難しいですが、ゲルやウレタンよりも姿勢保持力は強いのが魅力的。体幹が弱くてブレブレの患者で用います。
最強:特殊空気室構造
特殊空気室構造は褥瘡の既往がある・治療中の患者で、体位変換が困難な頸髄損傷・胸髄損傷の患者さんなどでも用います。

参考:アビリティーズHPより
こんなイカツイクッション、というより剣山みたいですが圧分散能力は最強です。この一つ一つの空気の山(エアセル)が周りのエアセルと中でつながっている点です
例えば一つのエアセルに圧が加わりつぶれたとしても、周辺のエアセルにその分の空気が移動する構造になっています。空気が移動することで周辺のエアセルがぷくーッと膨れ、お尻をしっかり包み込むように支えることができます。それによって圧をしっかり分散することが出来ます。
ただし体重が軽い&しっかりとした圧・サイズを選ばないと、一つ一つのエアセルの力に負ける=姿勢保持が困難になりやすいのが難点。その場合は体幹ベルトなどで補強します。
最強ゆえに扱いずらいじゃじゃ馬。でも手懐ければ褥瘡を防ぐ頼もしい見方となってくれます。
このようにクッション1つ取っても色々な種類・素材・利点欠点がありますので、しっかり医療者は選べるようになることが重要です。医療現場でよく用いるのはこの4つ、身体障害者手帳などで作製する車いすの処方箋もこれら4つなので覚えておいて損はないです。
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