医学雑談

脊髄損傷②:年齢・原因・麻痺

以下せきずい基金HP・全国脊髄損傷データーベースを参考に書かせていただきます。

1.受傷年齢

年代別割合(年度別)のグラフ

以前は60以下での受傷が多かったです。でも2000年代から高齢化の進行に伴い、60-70代(水色)が爆増しました。結果として上図のように現在は60-70代が最多となってきています。

2.受傷原因

受傷原因別割合(年代別)のグラフ

各年代の脊髄損傷になった原因です。10-20代の若年層ほど交通事故・スポーツで受傷します。一方年齢があがるほど転倒(紫)・転落(緑)が爆増していきます。ちなみ転倒は屋内で多く、3-4割は飲酒した後におきます。脊髄損傷予防には飲んだら動くな!ですね。

3.スポーツ別受傷数

スポーツ事故の種別割合(年度別) のグラフ

昔は水泳が圧倒的でした。学校や公営プールで飛び込んで、水底に頭を打って受傷していました。でもその後、飛び込みが全国的に禁止になり、数は減少傾向にあります。

最近はスキー・スノボが一番の原因で、スノボで特に多いです。良くあるのが、少し滑られるようになり、ジャンプやパイプなどのトリックを始めた時に受傷するパターンです。脊髄損傷はある程度のスピード(運動量)があって初めて起きるので、皆さまほどほどに滑りましょう。後はラグビーや柔道などの部活動も危険です。結論としてはスポーツ・部活は禁止・即廃止が脊髄損傷予防には一番!!

4.受傷部位

脊損高位別割合(年齢別)のグラフ

どの年代もクビでの損傷が最多で、年齢が上がるほど顕著です。これには首と胸・腰の可動域(動く範囲)が関係しています。首は前後左右回転のいずれも簡単にできますが、胸・腰は難しい・動かせる範囲が狭いと思います。

可動域があるとは、裏返せば外力に屈しやすく不安定なのです。逆に胸や腰の骨は可動域(動く範囲)が狭く、安定しているのです。そのため首は転倒など軽微な外傷で損傷しますが、胸や腰は高エネルギー外傷(転落や交通事故)と言って、派手な事故で無いと壊れにくいのです。

5.運動麻痺

脊髄損傷では大なり小なし、運動・感覚マヒが出現します。特に首で脊髄がやられると。腕と足・体幹にマヒが出ます。これを四肢麻痺と言います。逆に胸・腰で脊髄がやられると足にマヒが強く出ます。このことを対麻痺と言います。さて、どこにマヒ出るかは、損傷を受けた部位・高さによって決まってきます(参考:https://drsashimi.com/脊髄損傷①:総論 ‎)

その中でも一番重要なのは肛門の収縮と感覚です。何故かというと、肛門が動く・感覚ある⇒最末端まで神経が生きている・繋がっているっと判断できるからです。この状態を不全麻痺と診断します逆に肛門機能が全くないと、完全麻痺となります。

リハビリしていると患者・家族から、結局マヒは改善するのか、皆さんによく聞かれます。研究によってどこまで良くなるか予測できるようになりました(予後予測)。

予後が良いのは

①:不完全麻痺

②:受傷後1か月目に筋肉がうごく

以上の2点が重要となってきます。

①は神経が完全に死んでいないので回復の見込みがあるっという意味です。

②を少し詳しく述べていきます。

受傷後1か月目時点で全く筋肉が動かない場合(MMT0)、1年たっても80-90%は動かないor動くけど実用的ではない(MMT0-2)に留まります。☆MMT(徒手筋力テスト):筋力を示す指標で0-5の6段階。0:全く筋肉が動かない、1:筋収縮はある、2:動くけど重力にまける、3;重力に打ち勝って動く、4:弱い負荷加えても動く、5:正常 ☆

逆に1か月目の時点で、何でもいいので動く(MMT1-2)の場合は、1年後には90%が動きます(MMT3-5)。つまり要約すると、肛門が動き・感じ、かつ、少しでもいいので筋肉が動くと予後は良いっとなります。やはり完全に損傷される0と、なんでもいいので動く1では大きな差です。脊髄損傷はかなり繊細な病気です。

次回は呼吸・肺炎・人工呼吸について述べていこうかと思います。またお願します。

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