まとめ:なんて都合のいい薬
細菌を倒すための医薬品、抗生剤。色々な種類が発売されており、製品ごとに対象細菌・疾患・臓器・投与量・回数などなど細かく決まっています。そんな中でロセフィン(物質名セフトリアキソン)は本当に都合の良い薬です。発明した人は神様です。
ロセフィンの特徴は
①だいたいの細菌に効く
②感染症の起きやすい臓器に届く
③1日1回で良い
ひとつずつ見ていきます。
①だいたいの細菌に効く
ロセフィンは第3セフェム系という系統の抗生剤です。セフェム系は有名なペニシリンの兄弟みたいな抗生物質で、世界中でもっとも研究・開発が進んでいる抗生剤の一派です。現在の抗生剤の主力は間違いなくセフェム系です。
セフェムは第1~4世代まであり、その中でも第3セフェムは万能選手で、病院で問題となるほとんど全ての細菌に効きます。逆に効かないのはクラミジア・結核など一部です。
②感染症の起きやすい臓器に届く
人体で感染症が起きやすい・重症になりやすい臓器は肺・腎臓・胆のうの3つです。ロセフィンはいずれの臓器にも分布しやすい特徴があります。
ロセフィンは尿および胆汁で体外に排泄され、割合は尿55%胆汁45%です。腎臓や胆のうで特にロセフィンが効くのは、排泄部位のため高濃度のロセフィンが存在(排泄)するからです。
一つ余談ですがロセフィンの副作用で胆石症を認めます。胆汁で排泄されたロセフィンによって引き起こされるとされ、小児でおきやすいらしいです。なのでロセフィン使用中の右側腹部~心窩部痛(みぞおち)には注意してください。
③1日1回
これがロセフィンで最も好まれる理由かもしれません。1日1回の点滴で済むので、仕事などで忙しい人は外来で点滴治療が行えます。ほかの薬だと普通は1日3回なので基本的に入院治療となります。1gと2gとがありますが、そんなに気にする必要は無いです。病勢によって何となく判断しています。1gでダメだったら2gみたいな。
以上①-③のためロセフィンはとても『都合のいい奴』です。確かに耐性菌が増えたりして抗生剤の適正利用が叫ばれており、この記事も感染症科の先生ならキレるものです。でも休日検査もろくにできないような田舎の病院での当直の際には、やはり神様の薬です。これからも『男は黙ってロセフィン!!』と言い続けている気がします。はい、ヤブ医者です。
以上です。またお願いします。
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