前回の記事が車いすについてでしたので
車いす関連で、あまり耳にしない病気、『便座損傷』の話をします。
車いす使用者に通称『便座損傷』になる人がいます。便座損傷はあだ名みたいなものです。車いすに乗っていなくてもなります。
正式には坐骨神経麻痺です。
坐骨神経は太ももの裏、その中心を通っている、太くて長い神経です。下図は太ももを後ろから見た解剖図です。赤い矢印の指している黄色い物が坐骨神経です。(ネッター解剖学参照)
坐骨神経は人体で一番長く、約1mくらいあります。またそれらは無数の神経細胞の集合体です。つまり一つ一つの細胞の長さが1mもあるのです。
話をもとに戻します。
トイレや車いすに長時間座っていると、便座や座席と太ももの筋肉によって坐骨神経が圧迫されます。(経験してみたい方はトイレに座って10分ほど同じ姿勢をとってみてください、何となく膝から下が正座した時のようにピリピリ、重怠くなります)
圧迫も短時間なら特に問題ありません。ただ2-3時間も圧迫されると、致命的な障害がでます。なりやすいのは脳梗塞や知的障害者のようにマヒがあって動けない、感覚が低下している、ピリピリしている事を相手に伝えられない方がなる事が多いですね。
この便座損傷は和式トイレでは起きなかった病気です。でもトイレが洋式になってからチラホラ見られるようになりました。欧米化の意外なワナですね。(まぁ~件数的には車いすの方が多い印象ですが)。
さてこの坐骨神経の働きを簡単にまとめると
①モモの裏の筋肉(ハムストリングス)を動かす。(カカトをもも裏にくっつける動作 歩行で重要)
②膝から下の運動・感覚全部です(足首挙げる。踏み込む。ゆび動かすなど)
特に②が致命的。対処しないと全く歩けません。サポーターや専用の装具を使えば歩きやすくなります。
便座損傷は予防がすべて。致命的だが予防可能な病気は発症させたら100%、医療事故です。しっかり患者見て、ケアすることが大事です。
ではまたお願いします。
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