まとめ:完治はできない。減らす・工夫する医学
若干重い内容ですが大事です。医学には限界があります。進歩はしていますが未だ人は病気になり、必ず老いて死にます。リハビリにも限界、回復が止まる時期は必ず来ます。そして完治(完全に元通り)することはありません。
例えば骨折してギブスや手術でくっつけたとします。でもそれは骨折する前の骨とは全く別物になっています。周りの靱帯や筋肉もそうです。そしてそれは今まで通りの筋力・関節可動域ではなく全く別の状態・環境となったとこを意味します。
この新しい状態に適応していくのが、実はリハビリテーションの基本になります。そして元通りにならない部分が『後遺症』となります。
リハビリは完治を目指す医学ではありません。後遺症をいかに減らし、残った機能を最大限活かすように工夫する医学です。
ちなみにリハビリテーションはRehabilitaionと英語では書きますが、Re=再び、habilitation≒be able to(可能になる)なので直訳は再び可能となる、意訳では再獲得・習得となります。元通りという意味がそもそもリハビリには無いのです。
再獲得・取得の際に1つのキータイムがあり、それは3ヶ月です。
ここまでで獲得可能な約9割の機能が改善すると言われています。これ以降の回復は一般的に大変緩やかになります。(高次脳機能障害(記憶・言語など)は比較的緩やかで6‐24ヶ月かかる場合もあります。)
逆にこの3ヶ月、ゴールデンタイムこそしっかりリハビリすることが大事です。後でやろうっと夏休みの宿題みたいに8/31に焦り出しても遅いのです。
また役所に提出する診断書(身体障害者手帳など)で、症状固定=これ以上医学的に改善は乏しい、っと判断するのは6ヶ月や1年が多いです。法律的にもその辺りが区切りと考えられています。
さてリハビリではさっきの3ヶ月、で今後どのような動作が出来るか、生活送るうえでどう工夫するか考えます。多くの人は機能(筋力や歩行速度など)に目が行きがちですが、リハビリテーションで大事なことに『工夫』があります。
出来ないものは出来ないんです。なら出来る範囲で工夫していくことが凄い重要となってきます。例えば肩が上がらなくて髪が洗えない場合はブラシを使う、布団の生活だったけど立ち上がるのが難しいからベッドに変えるなどです。
個人的にはリハビリに惹かれたのはこの『工夫』でした。〇〇て病気にはこの薬、手術。スタンダードな治療は大事です、もちろん。でも個人個人に併せていくのが楽しかったのでリハビリ科になりましたね。
すこし重い内容ですが、大事な内容でした。
以上です。またお願いします。