マンガの1シーンを通して、医学に少しでも関心持って頂ければと思います。今後はシリーズも検討中です<m(__)m>
『スラムダンク』の桜木花道の腰痛シーンを、医学的に検討します。
☆受傷起点☆
バスケットボールを取ろうと飛び込んだ後、机に激突した。
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☆症状☆
受傷直後より腰部痛・腰部違和感を認めた。しかしシビレや感覚低下などは認めなかった
また明らかな足の麻痺は無く、最後まで試合を行うことが出来た。
☆診断☆
椎体骨折(背骨の骨折)または急性腰痛症(ぎっくり腰)。
どっちの病気か、決定打に欠けるが、激しい外傷後・激痛・試合後リハビリで入院していた点から椎体骨折の方が疑われる。ただし椎体骨折は一般的に非常に痛みが強い。我々一般人は彼のように走ったり・飛んだりすることは不可能である。いや、そもそも起き上がるのも困難であることは留意して頂きたい。
上記二つの病気を区別するために、胸椎または腰椎のレントゲンは必須。(胸椎=背骨の胸辺り、腰椎=腰辺り)。また必要時MRIを要する。
☆その他の病気の可能性☆
非常に激しい外傷であるので、脊髄損傷・椎体ヘルニアは必ず考慮しなくてはならない。痛みの部位から胸椎または腰椎の脊髄損傷およびヘルニアが想定される。しかし彼はマヒやしびれなどの感覚異常が出現せずに、最後まで試合をプレイ出来ていた。一般的に脊髄損傷および椎体ヘルニアでマヒや感覚障害が出現しないのは考えられない。そのため本症例では上記2つの可能性は極めて低いと考えられる。
☆回復の見込み・治療☆
非常に良好であり、今後スポーツ復帰は可能となるだろう。
治療としては手術を行わず痛み止め・コルセット・リハビリがメインとなるだろう。ただし脚の麻痺または膀胱直腸障害(おしっこや便が出なくなる)が出現した際は、脊髄が圧迫されているので手術を検討する。手術としては背骨にボルトと金属の棒を設置し、骨折した部位を補強する固定術が行われるだろう。しかし現時点ではマヒなどないので不要であるだろう。
まずは日常生活動作(起立・歩行など)から開始していく。スポーツ復帰の際は、最初は背骨に衝撃を与える運動(ランニング・ジャンプ)は避け、早歩き・ジョギング・シュート練習(ジャンプしない)から開始する。その後レントゲン・痛みを見ながらランニング・ジャンプ練習を徐々に取り入れていく。適宜レントゲンで骨のくっつき具合を確かめ、半年から1年を目途に競技復帰を目指せるだろう。
☆総括☆
椎体骨折が疑われるが、2年生時にはバスケ復帰可能であろう。以上です。
次回:https://drsashimi.com/ワンピース・シャンクス
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